ラノベ雑記録2004

ライトノベルに限らず書籍や映画等の感想と覚え書きです。

「10年ごしの引きニートを辞めて外出したら (5)」 坂東太郎

 バリア修復の手がかりを探す過程で、元の世界に戻れる可能性が出てきたユージたちは、旅で知り合った仲間や日本にいるネット掲示板住人の力を借りて実験を開始。どうやら、産地が同じ物品であれば送り返せるというところまで到達した。
 しかし、喜ぶ従妹のヨーコに対し、ユージは団長になった開拓地や冒険した仲間たちを残し、還ってしまっていいのかとひとり考えていた。それに自分はもう人殺しなのだ……。

 オリジナル展開で、ウェブ版より短く切り詰めての5巻完結。うまいこと、適当な巻数でまとまったなと思いました。
 とはいえ、結局、掲示板の住人たちの出番が掲示板のみで終わって残念。ニート異世界に転移して右往左往する話も、異世界に飛ばされた人間が元の世界とインターネット経由でいろいろ情報や物品を取り寄せる話も他にいくらでもあるけれど、異世界に飛ばされた日本人を救おうとネットの掲示板で知恵を出し合っていた同じようなニート集団が、事件をきっかけにニートを辞めて外出し、人と人との関係を強化して新たな道に踏み出す閑話はありませんでした。
 書籍化にあたって切り詰めるなら、むしろ異世界のユージのパートだったと思いました。ユージの異世界冒険と、掲示板の住人のおっかなびっくり現代日本での旅と、どちらが面白かったかといえば後者が好きですから。なにより、ユージが冒険者と商人に連れられ、森の奥から街まで出かけるのも冒険ですが、何年も引きこもっていた男がたかだか徒歩で往復1時間かけて夜中のコンビニに出かけるのも冒険だった……というウェブ版ならではの視点が面白かったんです。

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