
ボードゲームとしてのRPGとコンピュータRPGが混在し始めた黎明期のゲーマーにとってのバイブルというべきファンタジーガイド。今でこそファンタジーや神話のガイドブックになる本は山ほど出ていますが、当時は歴史や文学の専門書以外には何もなく、ゲームのマニュアルやルールブック以外では85年創刊の『Beep』掲載の「RPG幻想事典」が重要な情報源だったのです。
この連載が書籍化されたのが86年12月。そのちょい前に、安田均とグループSNEによる『モンスター・コレクション』が富士見ドラゴンブックから刊行され、この2冊にボルヘスの『幻獣辞典』が必携となります。そのあとに新紀元社が続き、怪兵隊が『RPGワールドガイド』を88年3月に刊行。コレクションもワールドガイドも、以後がんがん続編を刊行して現在に至りますが、この『RPG幻想事典』はファンタジーの基礎なるゲーム・神話伝説・文学、迷路の歩き方、ゲームに登場するドワーフやノームといった種族、魔法やアイテム、武器・防具、モンスターといったものを、豊富なカットやイラストと共に1冊で紹介してしまったところに価値があるのです。まさに黎明期の入門書です。
宇宙軍、SFセントラル・アートやハレージング・ストーリーズ、千葉大SF研などに謝辞が捧げられているのも注目点です。
【RPG幻想事典】【早川浩】【Nikov.】【日本ソフトバンク出版事業部】