ラノベ雑記録2004

ライトノベルに限らず書籍や映画等の感想と覚え書きです。

「火輪を抱いた少女3」  七沢またり

「敵にはいてもらった方が色々と便利だよ。憎む相手がいると、人間はやる気がでるでしょう? 敵がいなくなれば、勝手に作り出すんだから、いてもらった方が良いよ」
 だから今ここで攻勢をかければ帝国を倒せるかもしれないけれど、それはしないとノエル。

 裏切りに遭い、島流しにされたノエルだったが、つかの間の休息のようなものだった。
 監視役のリグレットをゲームで打ち負かしてはからかい、島の子供たちと遊び、釣りを愉しみ、海賊を皆殺しにしたりと平和な日々が続く。
 だが別大陸にまで飛び火した戦火は新皇帝の治世の混乱となり、反乱の炎は再び燃え上がった。
 そして悪鬼ノエルは反乱軍の旗頭として意気揚々と愉しそうに戦場へと戻っていくのだった……。

 少女シリーズの3作目、『火輪を抱いた少女』も3冊目にして大団円。
 ウェブ版そのままかと思ったけれど、生き残った人も増えて良かった良かった……といったところでしょうか。
 キャッチフレーズは“太陽を愛し、太陽に愛された英雄”だけれど、どちらかというと血にまみれたポリアンナ、「愛少女ポリアンナ物語」の。
 いつも「幸せになる方法」を探している少女が、家族や友達のため、行く手の障害となるすべてを二股鑓を振るって悪鬼羅刹のごとく殺して回り、使えるものは倫理人道関係なしで何でも使っていきます。
 適度に容赦ない血みどろで残虐で、それでいてほのぼのとしてユーモラスで、こぢんまりとしているけれど壮大な英雄譚。

【火輪を抱いた少女3】【二つの太陽】【七沢またり】【流刑地アンドロメダ】【エンターブレイン】【火計】【麻薬】【黎明計画】