
異世界転生ものとかマヨネーズの発明が定番ネタだけれど、もともと材料はありふれたもので、地球だって18世紀以前には誕生してたんだけどね……と。
市川鷹はゲーオタOL。VRMMO「ミヅガルヅ・エッダ」を10年以上やりこみ、経験値やスキルに依存せず、走り込みや筋トレ、学習や鍛錬などリアルな育成法でキャラを育て上げ、やっとこさ念願の竜騎士となった直後に……死んだ。帰宅途中で歩道に突っ込んできたランクルに押しつぶされたのだ。
ところが彼女は別の身体に転生してしまった。
それも長年やりこんだ「ミヅガルヅ・エッダ」ではなく、たまたま借りたばかりの乙女ゲームの世界にである……。
「このお話では乙女ゲーム要素が行方不明です」と最初に断り書きがあるように、女子力最低限の主人公は乙女ゲーム世界にいることに気づいた途端に予定調和からの離脱を決意。流れを変えてとか考えず、死んだふりして容姿も変えて逃走。ゲームが違うので前世の知識は通用しないけれど、そもそもリアルの彼女がチートっぽいというかOLといっても会社はPMCで、実家は三河武士の家系。今もガチで鍛錬続けていたので……という話です。
そういうわけで、主人公は乙女ゲームの世界が始まる前に舞台から飛び降りて逃げ出してしまい、代わりに一癖も二癖もある、おっさんたちに囲まれることになります。
なので、乙女ゲーではなく、ガチでバトル系の師弟ものです。イラストも少女マンガっぽいものではなく、目つきの悪い連中ばかりの暑苦しいものになっていてステキです。
ただ、あちらこちらに思考が飛ぶ、追いかけるのが辛い一人称メインの語り口に癖があります。名前を聞かれ、とっさに名乗る偽名がツァスタバですが、このツァスタバが何かって説明もないままスルーされていきます。ユーゴスラビアのライフルだなんて知らないよ。こんな感じで、いろんな思考の断片がとっちらかったまま放置されていきますが、それが気持ちいいと思える人には快感。
気になるのは、ウェブ連載分がほとんどすべて収録されていることでしょうか。
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