
クリスマスの季節に発生した事件を題材にしたアンソロジー集。表題作は、もちろん「もう少し身綺麗にしないとホームレスにもみえない」というフロスト警部ものだけれど、実は読むのは初めて。評判の作品でも未読が多いけれど、最近読書量が減ってきているので追いつけません。そういう意味で、こういうアンソロジーはいろいろつまみ食いできるのでありがたいですね。
短編集の感想は何を書いてもネタバレっぽくなるので困りますが、そういうわけで以下ネタバレっぽい感想あります。
「厚い雲がたれこめている日に太陽を見ようとは思わん。しかし、きらめく日射しがすこしでも目にはいったら、もうじきいつか太陽が照るという希望が芽生える」
ハリー・S・トルーマンの言葉。
クリスマスの朝の大騒動の顛末を描いた『夜明けのフロスト』は定評どおりの面白さ。家族のために働いて殺された男の残したプレゼントに泣いた後で、盗品の電子レンジに苦笑い。そうオチをつけますか。
父親のわからない青年が巻き込まれた悲劇『あの子は誰なの?』は余韻があって良い終わり方。話そのものは救いがないけれど。
『Dr.カウチ、大統領を救う』はぜんぜんミステリじゃない気もするけれど、面白いからいいや。好々爺のドクターが孫娘に本当か嘘かわからない思い出話を語る一篇。
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